MUSIC LIFE CLUB Presents

ロックスターの横顔 vol.7 フレディ亡き後のクイーン

ブライアンとロジャーの音楽への情熱

MUSIC LIFE CLUB Presents ロックスターの横顔 vol.7 フレディ亡き後のクイーン

ブライアンとロジャーの音楽への情熱


2011年、ロンドンでのクイーン展会場にて。二人とは26年ぶりの再会だった

Pix : ©︎ Kaoruko Togo

この「ロックスターの横顔」の連載では音楽雑誌『ミュージック・ライフ』の編集者だった私が仕事を通して出会ったクイーンのメンバーとの思い出を語ってきたが、今回はフレディ亡き後の彼等との交流(と言っても、仕事がらみなのだが)について語ってみたい。

 

私が『ミュージック・ライフ』(以下ML)編集部~シンコー・ミュージックを退社したのは1990年のことだ。同年、フレディが参加した最後のアルバム『イニュエンドウ』を発売したクイーンの取材ということでブライアンと電話で話したのだが、私がMLを退職したことを告げると彼は、こう言った。「それで、君は今ハッピーなのかい?」当時の私は音楽雑誌で出来ること以外に、もっと自由な立場でフリーランスとして仕事を続けたいと思っていた。それを告げると「それは良かったね」と言った。どうということのない会話だったが、私はブライアンなりの心遣いを感じてうれしかった。

 

フレディが亡くなった後にステージ上に限って言えばクイーンのメンバーに接する機会は少なくなかった。’92年のウェンブリー・スタジアムでのフレディ追悼コンサート、’93年の自身のバンドを率いてのブライアンの来日公演、‘94年の奈良~東大寺でのユネスコ主催のコンサート「AONIYOSHI」でのロジャー、そしてもちろん05年のクイーン+ポール・ロジャースや、2016年、2020年の+アダム・ランバートでの来日公演等々、すべて観ているが彼等と直接、接する機会に恵まれたのは2011年にロンドン郊外で開催された結成40周年記念のクイーン展を取材した時と、2020年に日本で開催されたクイーン展の公式BOOK用に、2019年末にブライアンとロジャーに電話インタヴューをした時とクイーン展の東京会場にMLのフォトグラファーだった長谷部宏氏と共に会いに行った時だ。

 

2011年の取材(写真上)は特に感慨深いものがあった。彼等と直接、話をしたのは多分、最後の日本公演(’85年)以来だったから約26年ぶり(!?)の再会だった。お互いに年取ったねと冗談とも言えない会話を、彼等と交わすことになろうとは夢にも思わなかった。久しぶりに会った二人の印象を私は「二人とも、すっかり落ち着いた中年紳士の風情etc.……」と、どこかの雑誌か新聞に書いた覚えがある。また一昨年に日本でも公開されて大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』も話題にのぼったが、この時点ではキャストも監督も決まっていなかった。



2020年、来日公演に合わせて開催されたクイーン展の東京の会場を訪れたロジャー&ブライアンと。二人の間に写っているのはカメラマン長谷部氏

それから、さらに10年後の2020年にブライアンとロジャーに再会。前記の通り、来日公演に合わせて開催されたクイーン展の東京の会場で、長谷部さんを含めた懐かしい顔ぶれが揃った。二人とも、特に長谷部さんとの再会を喜んでくれ「君は、気が付いたらいつも僕らのそばにいたよね」とジョークを飛ばして場を和ませてくれた。彼等も、すでに70代……近年、ロックの黄金時代を作って来たスター達の訃報が続いたことに触れるとロジャーが「ボウイの訃報には落ち込んだよ。彼とは親しかったからね。でもそれが人生ってものなんだろうな。僕らは皆、同じ旅路を歩んでいるんだから……」と語った。ちょっとヤンチャなロックンローラーだったロジャーも、今や分別盛りの立派なオジサン(!?)かァ~と、少しばかりシンミリした。そう、自分のことは差し置いて……。



ブライアンとロジャーの二人は、昨年1月の来日公演の合間、東京のクイーン展会場に足を運び、展示物を懐かしげに眺めていた。等身大のフレディ像と記念写真も撮影、その様子は自身のインスタグラムにもアップされている

一方、ブライアンは若い頃から凝っている3D写真のことや、宇宙物理学の博士号を持っているだけあって、日本の惑星探査機「はやぶさ2」に興味シンシンの様子。音楽以外の趣味を持って人生を大いに楽しんでいる様子がうかがえた。そんな二人に共通しているのは音楽への衰えぬ情熱だ。だがブライアンもロジャーも、もしアダム・ランバートと出会わなければクイーンとして活動することはなかっただろうと言う。それほどアダムとの出会いは運命的なものだったらしい。「僕らも年齢的に、いつまでツアーで世界を回れるのか分からない。いつか出来なくなる日が来るだろうけど、今は、その一瞬一瞬を楽しむように心がけている」とはブライアンの言葉だ。

 

ところでロジャーと電話で話した際に長年、伝えたかったことをやっと伝えることが出来た。
「私が長い間、MLの仕事をして来て、一番多く会ったバンドがクイーンなんです。大変なこともありましたが、あの頃の素晴らしい思い出とクイーンにThank You!と言わせてください」
するとロジャーはこう言った。「ワオ!、そうなんだ。僕もいまだに『ミュージック・ライフ』を本棚に飾っているよ。こちらこそ、ありがとう!」
まァ、本棚に飾ってあるというのは多分、お世辞だろうが(笑)、MLがクイーンを追い続けたことは、彼等にとっても忘れられない思い出のひとつなのだろう……そう思うことにしておこう。


(東郷かおる子)

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東郷 かおる子 Kaoruko TŌGŌ 音楽専門誌「ミュージック・ライフ」元編集長。
神奈川県横浜市出身。星加ルミ子氏に憧れ、高校卒業後、(株)新興楽譜出版社(現・シンコーミュージック・エンタテイメント)に入社。

1979年に編集長に就任。1990年に退社。現在はフリーランスの音楽ライターとして活動。近著に「クイーンと過ごした輝ける日々」(シンコー・ミュージック刊)。



東郷かおる子さんが編集長だった『ミュージック・ライフ』は『MUSIC LIFE CLUB』と姿を変え、クイーンを中心とした往年の洋楽アーティスト/グループのニュースや情報をお伝えするサイトとして、シンコー・ミュージックが完全に無料のサービスとして運営中。


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