東京大学医学部附属病院 様



顕微鏡で見た色合いと同じ色合いがモニター上に再現できることで、診断可能範囲が広がりました。


日本国内において慢性的な病理専門医不足のため、病院内にて病理診断が行えない病院が多数存在する中、病理医が集約されている東京大学医学部附属病院では、精度の高い病理診断を提供するため、「地域連携推進・遠隔病理診断センター」を開設し、遠隔病理診断・病理診断支援を専門に行っています。

 

今回、東京大学医学部附属病院病理部部長の深山 正久 氏のもと、同病院地域連携推進・遠隔病理診断センター長として日本における病理診断のデジタル化と遠隔病理診断普及推進に取り組まれている佐々木 毅 氏に病理用画像表示モニターJD-C240 試用機より共同研究をさせていただき、現在の病理診断の問題点と当社モニター導入による効果についてお話を伺いました。



病理医不足の中、診断件数は増え、病理医不在の病院も


日本の病理専門医は微増傾向ではあるものの平成28年8月末現在で2,362名に過ぎず、一方で10年前の2005年と比較すると、病理診断の件数は1.8倍、術中迅速病理診断は3倍、診断の確定やがんなどの治療方針を決定する免疫染色の件数は2.7倍と著増している状況です。また400床以上の急性期病院715病院中、病理医不在病院は実に247病院(34.5%)にものぼります。


病理医不足による医療の不平等をデジタル化で克服する


例えば、病理医不在病院では、乳がんを切除した断端にがん細胞がなく、がんがとりきれていることを手術中に確認する術中迅速病理診断ができないため、小さくがんをとる縮小手術が受けられない、あるいはセンチネルリンパ節に転移がないことを確認して、リンパ浮腫の原因となるわきの下のリンパ節手術を避けるための術中迅速病理診断を受けることができないなど、受診する病院の選択によって患者さんが不利益を被る医療の不平等が起こっています。

 

こうした状況を克服する手段として、病理画像のデジタル化が有効な手段として考えられます。病理標本(プレパラート・スライドグラス)を高倍率・高精度の専用バーチャルスライドスキャナーでデジタル化した病理画像(Whole Slide Imaging: WSI)、高い性能品質のモニターを活用することで、遠隔地の病理医不在病院と病理専門医が勤務する医療機関の間で術中迅速病理診断を享受することが技術的に可能となります。この施策が病理医不足への対策と、患者医療の均てん化に有効な手段と考えられますので一刻も早い普及が望まれるわけです。

 



病理診断用に必須の要素を満足するモニターで患者医療に貢献


バーチャルスキャナー等により作成したデジタル病理画像(WSI)の質の重要性もさることながら、最終的には画像診断を行うモニターの性能が非常に大きく影響します。病理画像は多くの場合、ピンク色と紫色からなる「ヘマトキシリンエオジン(HE)染色標本」で病理診断を行うのですが、この「パステルカラー」は人間にとって、非常に微妙な色域といわれています。これまで病理画像の観察に使われることが多かった通常のパソコンモニターやテレビなどは、多くの場合、色や明るさのバラツキ、安定性など病理診断用のモニターとしての品質に問題がありました。

 

さらに、病理専門医は診断モニターを見る時間も長いため、長時間凝視していても疲れないモニターという条件も必要不可欠です。病理診断をモニターで行う際には、「拡大」、「縮小」、「移動」等の注視作業を伴うため、モニターの大きさや解像度も重要な要素です。余分な動作を伴わない適度な視距離で、疲れない24インチ程度の画面サイズが必要です。解像度に関してはパソコンの能力と関連し、快適に扱える1920×1200程度が疲れない診断を行うための重要な要素になります。このように、病理診断を行う「病理診断用モニター」については「性能基準」を定め、それに適合したモニターを使用することが正しい病理診断に繋がり、患者医療に貢献するという視点からも非常に重要と考えます。



病理用画像表示モニター JD-C240

 

  • 病理画像表示に要求される高精度な色再現を当社独自のカラーマネジメント技術で実現。
  • 遠隔地、複数台利用した場合でも統一した色再現での表示が可能。
  • sRGB、AdobeRGB、DICOMSDFに加え、顕微鏡画像の観察に適したMicroscopyモードなど、豊富なカラーモードを装備。
  • 当社独自のエッジ強調技術により、不自然な輪郭補正無く映像の視認性を向上させるコントラストエンハンサー搭載。
  • 医用安全規格を取得。別売の精度管理用キャリブレーションキット(CAL-015)により経年変化によるバラツキの補正、色再現の維持・管理が可能。


顕微鏡と同じ色合いで診断可能範囲が拡大


まずJD-C240を使用して最初に驚いたことは、一般モニターと比べて病理画像特有の微妙な色の違いを非常に良く表現できているということです。顕微鏡で見た色合いと同じ色合いがモニター上に再現できることで、診断可能範囲が広がりました。


疲れにくく、診断効率が向上


また、安定した画質により長時間の病理観察でも疲れを感じることなく診断を進めることができるため、診断効率が大きく向上しました。モニターによる病理診断に携わり、これまで実に様々なモニターを試しましたが、本機を使ってストレスがなくなった、楽になったと実感しております。


色再現性が高く遠隔診断にも貢献


さらに、JD-C240はWUXGA(1920×1200)の解像度ですが、机上に並べてある高額4K モニターと比較しても病理画像観察に優れており、モニターの色再現性能の重要性を改めて感じております。

 

さらに本機は、複数台の利用でも同一の色合いを再現できる性能が高いという利点があると聞いており、ディスカッションが必要となるような症例の病理診断にも大きく貢献すると思われます。「良い」モニターで病理画像を見るべきであり、本モニターは大変有効だと思います。

 

(2016年11月取材)



東京大学医学部附属病院は、その起源を1858年の神田お玉ヶ池種痘所の設立に遡ります。
2008年には創立150周年を迎え、日本の近代医学教育を支えてきた歴史と伝統のある病院です。
これまで永きにわたり優秀な人材を多数輩出し、日本の医学・医療の発展に貢献して参りました。大学病院には診療・研究・教育の三つの使命がありますが東大病院においても、これらの使命を果たすため、「臨床医学の発展と医療人の育成に努め、個々の患者に最適な医療を提供する」という理念を掲げています。
また、この理念を実現するために、①患者の意思を尊重する医療の実践、②安全な医療の提供、③高度先進医療の開発、④優れた医療人の育成を目標としています。

 

東京大学医学部附属病院
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